2.美瑛到着
【民宿クレスに到着】
旭川から約30分でディーゼルカーは美瑛駅に到着した。
快晴の札幌・旭川と裏腹に美瑛は小雨が降っていた。夕暮れの美瑛の風景を少し撮影してから宿に行くつもりだったが、このまま宿に行くことにした。
----数日前に予約の電話をした時のこと。----
美瑛町サイトで見つけた宿は、090で始まる携帯番号が連絡先の民宿クレスだった。
ヌマタイガー「直前なんですけど、今度の土曜日って空いてますか?」
おかみさん「お待ちください。・・・・あ、この日はいっぱいです。ごめんなさい。他の宿が空いているかも知れませんので、あたってみます。折り返し電話します。」
ヌマタイガー「あー、ありがたいです。」
このおかみさんって自分の宿以外も当たってくれるのか。メチャクチャ良い人だ!今回は紹介してくれた宿に泊まるとしても、次に行くならここは泊まりたい宿だ。電話を切った直後にそう感じた。しばらくして、折り返しの電話が。
おかみさん「よく調べてみたら1部屋空いてました。お一人様ですよね?美瑛に着いたら電話ください。駅までお迎えに行きますので。」
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美瑛駅前で民宿クレスの携帯番号に電話した。
「予約しているヌマタイガーですが、今美瑛駅に着きました。」
まもなく、息を呑むほど美しい女性が美瑛駅まで車で迎えに来てくれた。ヌマタイガー、それだけで嬉しいバカである!
ヌマタイガー「宿の予約番号が携帯の090だったんですが、宿に転送してるんですか?」
運転する女性「・・・・(大分考えてから)・・・・転送してるんです。バイトの子もいるんですが、あの子じゃ予約とかはまだできないし、私が外に出る時が多いから携帯じゃないとダメなんです。」
・・・ヌマタイガーは推測した。これから行く宿には、最初の電話のおかみさん、北斗星で出会ったあの初老の男性みたいな面白い主人がいる。迎えに来てくれた女性はしっかりしたその娘さんだ。そしてバイトの女の子を雇っている宿なんだろう。そんな想像の元民宿クレスに到着した。
2日目夕刻美瑛の宿に到着。これが民宿クレス。ええ?もっと古くさい宿だと思っていたのに!新築だし、すげー綺麗だっ!
【民宿クレスでの出会い】
夕食の時間になった。1つだけある大きなテーブルには30代前半の男性、4人で旅行していると思われる50代後半の2組の夫婦、ヌマタイガーが座った。
12品くらいの料理が丁寧に盛り付けられた大皿とごはん、味噌汁が全員に配膳された。持ってきたのは駅まで迎えに来てくれた”息を呑むほど美しい女性”であった。そして厨房からは”甘さを持ったイケメン”と比喩するのがふさわしい若い男性が出てきた。予約した時の面倒見の良さそうなおかみさんはいなかった。そうか、ここは建物も新しいからこの若い夫婦が建て、2人で経営している民宿だったんだ。
食事をしながらこんな風に会話が始まった。とっても一般的であるが、このきっかけは大事である。
おばちゃんA「あなた一人旅?」
ヌマタイガー「はい。」
おっちゃんA「どこから来たんだい?」
ヌマタイガー「東京です。」
同じテーブルでの食事が終わる頃、この6人は仲良くなっていた。30代前半の男性は仕事の関係で来ていた。50代後半の4人は、夫婦同士ではなく、札幌の同じ会社を定年退職した仲間で、その後も交流が続いているという仲良しパーティだった。
食事が終わっても話が終わらない。楽しそうに話していると”息を呑むほど美しい女性”が”甘さを持ったイケメン”を連れて会話の中に入ってきた。”息を呑むほど美しい女性”は”甘さを持ったイケメン”に手振りで「ここに座ってこのお客様達と楽しく会話しなさい!」と言っているように思えた。
おっちゃんA「あんたたち夫婦なのかい?」
息を呑むほど美しい女性「と、とんでもない。違いますよー。」
ヌマタイガーの脳裏に車内での会話が蘇った。
「・・・・(大分考えてから)・・・・転送してるんです。バイトの子もいるんですが、あの子じゃ予約とかはまだできないし、私が外に出る時が多いから携帯じゃないとダメなんです。」
そうか。この”甘さを持ったイケメン”がバイトの子なのか。てっきり女の子だと思っていたが、男の子だったのだ。よく見るとやっぱり10代だ。じゃ、じゃあこの若い女性がほぼ一人で切り盛りしている宿だったんだ。あんなに多くの種類の料理を作り、駅までの送り迎えもして、携帯で予約を受け付けて、部屋が空いていない時は他の宿の手配までしてくれるのだ。すげえ。この人すげえ。おかみさんと呼ぶようなイメージではないし、どう呼べばいいんだろう?一緒に泊まっている仲間も同じだった。
おっちゃんA「おかみさん!・・・いやおかみさんって変だな。・・・名前なんて言うんだい?」
息を呑むほど美しい女性「由香里(仮)です。」
おっちゃんA「じゃあ由香里さんって呼ぼう。」
この日は登山パーティ2組と親子連れ1組以上の合計20人程度が泊まっている。食堂に唯一あるテーブルは8人用。夕飯はこの6人だけが予約しているようだったから良いのだが、明日の朝食はどうなるんだろう?2回に分けるのか?到着したばかりの重装備の登山パーティの一人が食堂に入ってきた。
由香里さん「明日は何時に朝食にしますか?何時でもいいですよ。」
登山家「・・・・5:30に出発したいんですが。」
由香里さん「私は3時には起きてますから大丈夫ですよ。」
・・・・・すげえ。この人すげえ。
食事はとっくに過ぎて片付けてもらった後なのに、話し込んだ退職仲良しパーティ4人とヌマタイガーの会話は終わらない。18:30からの食事なのに、もう20時前である。
おっちゃんA「明日は車で旭川動物園に行くんだけど、一緒に行かないかい?」
ヌマタイガー「・・・明日はレンタサイクルで美瑛の丘を回る予定なんです。」(一緒に行きたいのはヤマヤマである)
おっちゃんA「そうか。それもすごく良いよな。」
厨房から由香里さんがマスクメロンの入った人数分のお皿を持って出てきた。サービスである。
由香里さん「みなさん、優しくしてくれたからですよ。」
たっぷり水分を含んだメロンはとっても甘かった。こうして夕食タイムは終了した。しかし一旦部屋に戻ってから再度厨房に向かったヌマタイガーであった。バイトの男の子はもういない。厨房の中には息を呑むほど美しい女性が一人だけである。一体何が目的なのか?ネコ的ヌマタイガーがようやくトラになる瞬間なのか?こりは危険だっ。
ヌマタイガー「すみませーん。明日の朝食の時間はレンタサイクルの開店時間から決めたいのですが。」
由香里さん「じゃ今、滝川サイクルに電話して聞いてみますね。 ・・・は、はい6:30ですね。」
ヌマタイガー「じゃ朝食は7:00でお願いします。 ・・・・あとそれから・・・・」
由香里さん「はい?」
ヌマタイガー「び、びーる4缶ください。」
夕食の時、ビール飲むのを忘れていたのだ。
由香里さん「4缶?たくさん飲まれるんですね。」
ヌマタイガー「あ、あまったら明日美瑛の丘で飲めばいいし。」
↑もちろん、あまるはずなど無い。むしろ足りないかも。と思いながらのヌマタイガーであった。
部屋で缶ビールを飲みながら、窓辺から夜空を覗き込んでみた。星の数が少なかった。どうやら今は曇りのようだ。星空が見れないのは残念だが、明日は晴れる予報だ。